パソコンを使用していると、「電源ユニットのファンがうるさい」と感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。とくに、ファンから異音がするようになると、「カラカラ」「ブーン」といった音が気になって作業に集中できなくなってしまいます。このような騒音の背景には、ファン制御の不具合やホコリの蓄積による回転不良、さらには軸ずれなどの物理的な問題が隠れている場合があります。
さらに、電源ユニット自体が劣化している症状や壊れる前兆であることもあるため、単なる音として見過ごすのは危険です。そもそも電源ユニットの寿命は何年くらいなのか、そして騒音が出始めたらどのタイミングで交換を検討すべきなのか、気になる方も多いでしょう。
本記事では、電源ユニットのファンがうるさい」感じたときに考えられる原因を詳しく解説しながら、適切な対処法やメンテナンス方法、交換時におすすめの製品まで、初心者にもわかりやすく紹介します。掃除で改善できるケースから、修理ではなく交換が必要な場合まで幅広くカバーしていますので、ぜひ参考にしてください。
電源ユニットのファンがうるさい原因とは

- ファン制御の仕組みを知ろう
- 異音カラカラは何が原因?
- 軸ずれが起こるとどうなる?
- 掃除不足による騒音の可能性
- 壊れる前兆と劣化している症状
ファン制御の仕組みを知ろう
電源ユニットのファンは、単純に常に一定速度で回っているわけではありません。多くの電源ユニットには「温度や負荷に応じて回転数を調整する制御機能」が備わっています。この仕組みを理解することで、ファンがうるさくなる理由も見えてきます。
具体的には、ファン制御は「PWM(パルス幅変調)」や「サーミスタ制御」といった技術によって行われます。これにより、PCが高負荷になって温度が上昇すると、ファンの回転数が自動的に上がり、音が大きくなるという仕組みです。逆に、低負荷時にはファンが止まる「セミファンレスモード」を採用している機種もあります。
この制御機能が正常に働いていれば、状況に応じた効率的な冷却が可能になります。ただし、制御システムが故障している場合、ファンが常に最大速度で回転し続けてしまい、異常な騒音が発生することもあります。
また、長期間使用しているとファンそのものの精度が落ち、制御通りの速度で回らなくなったり、動作が不安定になったりすることもあります。そのような場合は、ファンや電源ユニット全体の交換を検討する必要があります。
このように、ファン制御の仕組みを理解しておくことで、異常の兆候にも早く気づき、適切な対処ができるようになります。
異音カラカラは何が原因?
PCの電源ユニットから「カラカラ」という異音がする場合、主な原因として考えられるのは、ファンの物理的な不具合や経年劣化です。放っておくと大きなトラブルに発展する可能性があるため、早めの対応が重要です。
まず、もっとも多い原因は「ホコリの蓄積」です。ファン内部にホコリが溜まると羽根の動きが悪くなり、異常な音を発するようになります。このときの音が、よく「カラカラ」と表現されます。
次に考えられるのは、「ファンの軸ずれ」や「ベアリングの劣化」です。これらの不具合が起きると、ファンが回転するたびに金属同士が擦れたり、振動が発生したりして異音の原因になります。
また、内部のケーブルがファンに接触している場合も同様の音が出ることがあります。これはケーブルの位置がズレたり、結束が甘くなったりしたときによく見られる現象です。
このような異音を放置していると、冷却効率が落ちてパーツの温度が上昇し、最悪の場合、パソコン全体の故障につながることもあります。聞き慣れない音がしたときは、ケースを開けてファン周辺を確認し、異常がないか慎重にチェックするようにしましょう。
軸ずれが起こるとどうなる?
ファンの「軸ずれ」が発生すると、静かだったパソコンのファンから異音が出たり、回転が不安定になったりすることがあります。この症状は、ファンの中心軸がわずかに傾いたり、ずれたりすることで起こります。
このようなズレは、長期間の使用や落下、衝撃によって発生するケースが多く見られます。軸が正しい位置からズレると、羽根がケース内部にわずかに接触することがあり、「カラカラ」や「ガタガタ」といった音が発生します。回転バランスが崩れることで、冷却性能も低下します。
また、軸ずれを放置すると、ファンモーターや周辺部品への負荷が増し、さらに大きな故障につながることもあるため注意が必要です。ファンの動きに違和感がある、いつもと違う音がするといった場合は、早めに確認・対応することが大切です。
軸ずれ自体は修理が難しいため、基本的にはファン交換が推奨されます
掃除不足による騒音の可能性

電源ユニットのファンがうるさく感じられる場合、その原因の一つに「掃除不足」があります。特に長期間メンテナンスをしていないPCでは、ファン周辺にホコリが溜まりやすくなります。
ホコリはファンの回転を妨げるだけでなく、バランスを崩すことで異音の原因にもなります。さらに、熱がこもりやすくなり、ファンが高回転で動き続ける状態が続くことで、騒音が一層目立つようになります。
このような場合、ケースを開けて内部を確認し、エアダスターやブラシなどで丁寧に掃除することが効果的です。ただし、ファンの羽根は繊細なため、力を入れ過ぎず慎重に作業する必要があります。
掃除を定期的に行うことで、冷却性能を維持し、ファンの寿命を延ばすことにもつながります。目安としては、3~6ヶ月ごとのメンテナンスが理想です。
壊れる前兆と劣化している症状
電源ユニットが壊れかけているときには、いくつかの前兆や症状が現れることがあります。これを見逃さないことが、トラブル回避には非常に重要です。
例えば、突然ファンの音が大きくなったり、電源を入れてもすぐにシャットダウンするような動作があれば、劣化のサインと考えられます。異音や振動がある場合も、内部の部品が摩耗している可能性が高いです。
また、パソコン全体が不安定になり、フリーズや再起動が頻発するようになるのも、電源ユニットの出力が不安定になっていることを示しています。焦げたようなニオイがする場合は、すぐに使用を中止してください。
このような症状が出始めたら、早めの交換を検討することが望ましいです。劣化した電源ユニットを使い続けると、他のパーツにも影響を与える恐れがあります。
どれか一つでも気になる兆候が見られたら、安全のためにも専門業者やパソコンショップに相談することをおすすめします。
電源ユニットのファンがうるさい時の対処法

- 電源ユニットの寿命は何年くらい?
- メーカー修理か買い替えかの判断基準
- 電源ユニットの交換におすすめな静音性の高い機種
電源ユニットの寿命は何年くらい?
一般的に、電源ユニットの寿命はおおよそ5〜10年程度とされています。ただし、使用状況や環境によって寿命は大きく変動します。
例えば、常に高負荷で稼働しているパソコンや、通気性の悪い場所で使われている機器では、内部の発熱やファンの摩耗が進みやすくなります。その結果、通常よりも早く劣化が進行します。逆に、定期的に掃除をし、安定した電源環境で使っている場合は、想定以上に長く使えることもあります。
また、経年劣化によって出力が不安定になると、他のパーツに悪影響を与える恐れもあります。PCの挙動に不安を感じるようになったら、まず電源ユニットの年数や使用状況を見直してみましょう。
明確な不具合がなくても、5年以上使っている電源ユニットは一度点検や交換を検討する価値があります。
メーカー修理か買い替えかの判断基準
電源ユニットに不具合が発生したとき、「修理するべきか、それとも買い替えるべきか」で迷う方は少なくありません。判断のポイントはいくつかあります。
まず、購入から3年以内で保証が残っている場合は、メーカー修理が第一選択となります。無償修理や交換対応になることが多く、コストも抑えられます。
一方で、保証が切れていたり、すでに5年以上使用している電源ユニットの場合は、買い替えを選んだ方が現実的です。なぜなら、修理費が新品の電源と同等かそれ以上になることもあるからです。
さらに、パーツの供給が終了している旧モデルは、修理対応そのものができないケースもあります。メーカーに問い合わせる前に、型番や製造年を確認しておくとスムーズです。
安全面や今後の安定稼働を考えると、長く使った電源は新しい製品への交換が賢明といえます。
電源ユニットの交換におすすめな静音性の高い機種
静音性に優れた電源ユニットを選ぶなら、「セミファンレス機能」や「高品質ファン」を搭載したモデルが候補になります。これらの製品は、軽負荷時にはファンが回らず、一定の温度を超えると静かに冷却を始める設計です。
具体的なおすすめとしては、Seasonic(シーソニック)やCorsair(コルセア)などのブランドが挙げられます。特にSeasonicの「FOCUS」シリーズは、静音性と信頼性のバランスが良く、多くのユーザーから高評価を得ています。
Seasonic FOCUS GX-1000 White ATX 3
Seasonicの「FOCUS GX-1000 White ATX 3(SRP-FGX102-A5A32SF-WH)」は、最新のATX 3.0規格に対応した高性能モデルです。セミファンレス設計を採用しており、低負荷時にはファンが完全に停止するため、静音性が非常に高く保たれます。1000Wという十分な出力も備えており、ハイエンド構成のPCにも安心して使用できます。
Corsair RM850e 2025 Cybenetics Gold ATX3.1
Corsairの「RM850e 2025(CP-9020296-JP)」は、最新のATX 3.1仕様に対応しつつ、Cybenetics Gold認証も取得している静音・高効率モデルです。850Wという出力は、多くのミドル~ハイエンド構成に対応でき、セミファンレス機能によって通常使用時の動作音を最小限に抑えてくれます。コストパフォーマンスにも優れ、安定性と静音性を両立した1台です。
一方で、価格の安さだけで選ぶと、冷却ファンの品質が低かったり、常時フル回転で動作音が大きい場合もあるため注意が必要です。静音を重視するなら、80 PLUS認証付きで、かつレビュー評価の高いモデルを選ぶのがポイントです。
さらに、ファンの口径が大きいほど低回転で風量を確保できるため、静音性を確保しやすくなります。
電源ユニットのファンがうるさい原因と対処法の総まとめ
今回の記事の内容をまとめます。
- ファンは温度や負荷に応じて回転数が変化する
- PWMやサーミスタによってファン制御が行われている
- セミファンレス機能付きモデルは静音性が高い
- ファンが常時高速で回るのは制御機能の不調の可能性あり
- 異音「カラカラ」はホコリの蓄積が主な原因
- ファンの軸ずれは異音や回転バランスの崩れを招く
- 内部ケーブルの接触でも異音が発生することがある
- 掃除不足はファンの動作不良や高回転の原因になる
- 定期的な掃除がファンの寿命と静音性維持に効果的
- 劣化した電源ユニットは起動不良や再起動を引き起こす
- 異音や焦げたニオイは劣化や故障の前兆である
- 電源ユニットの寿命はおおよそ5〜10年
- 保証期間内であればメーカー修理が優先される
- 古いユニットや修理費用が高い場合は買い替えが現実的
- 静音性重視なら高評価のセミファンレスモデルを選ぶべき