「ノートPCの性能を手軽にアップグレードしたい」と考え、外付けGPUに興味を持ったものの、インターネットで「外付けGPU やめとけ」という意見を見て不安になっていませんか。確かに、外付けGPUには導入前に知っておくべきデメリットや欠点が存在します。例えば、ケーブル接続による性能低下の問題や、サンダーボルトなしのPCでは利用できないといった制約です。
また、GPUの寿命は何年なのかという長期的なコストの問題や、そもそもデスクトップPCを選んだ方が良いケースもあります。しかし、外付けGPU ノートパソコンという組み合わせには、それを上回るメリットや利点があるのも事実です。
この記事では、外付けGPU thunderbolt4 対応 モデルやその他のおすすめ モデルにも触れながら、後悔しないための客観的な情報を提供します。本当に「やめとけ」なのか、この記事で一緒に確かめていきましょう。
- 「外付けGPUはやめとけ」と言われる具体的な理由
- 導入によって得られるメリットと注意点
- 自分の使い方に合った製品選びのポイント
- デスクトップPCとのコストパフォーマンス比較
「外付けGPUはやめとけ」と言われる5つの理由

- 外付けGPUのデメリットと欠点とは
- 接続による性能低下は避けられない
- サンダーボルトなしPCでは使えない
- GPUの寿命とトータルコストの問題
- デスクトップPCを購入した方が良い場合
外付けGPUのデメリットと欠点とは
外付けGPU(eGPU)の導入を検討する際、まず理解しておくべきは、そのデメリットと欠点です。これらが「やめとけ」と言われる主な理由となっています。
主なデメリットは以下の4つに集約されます。
デメリット | 具体的な内容 |
---|---|
高額な初期コスト | eGPUボックス本体に加え、高性能なグラフィックボードを別途購入する必要があります。総額は10万円を超えることも珍しくなく、同性能のデスクトップPCが購入できる価格帯になることもあります。 |
セットアップの複雑さ | 単にケーブルを接続すれば完了、というわけにはいかない場合があります。ドライバの競合によるブルースクリーン、BitLockerの回復キー要求など、PCの知識がある程度ないと解決が難しいトラブルに遭遇する可能性があります。 |
動作の不安定さ | PCとの相性や、他の周辺機器との組み合わせによっては動作が不安定になることがあります。特に、複数のThunderboltポートを同時に使用すると、認識不良やコイル鳴きといった問題が発生するケースが報告されています。 |
携帯性の低下 | ノートPCの利点である携帯性が大きく損なわれます。eGPUボックスはサイズが大きく重量もあり、電源も必要なため、実質的に自宅での据え置き利用が前提となります。 |
トラブルは自己解決が基本
外付けGPUはまだニッチな製品分野であり、インターネット上で得られる情報が限られています。トラブルが発生した際に、ほとんどのケースで自力での解決が求められる点は、大きなデメリットと言えるでしょう。
これらの理由から、手軽な性能アップを期待して購入すると「こんなはずではなかった」と後悔につながる可能性があるのです。
接続による性能低下は避けられない

外付けGPUを導入しても、搭載したグラフィックボードの性能を100%引き出すことはできません。これは、PC本体とeGPUボックスを接続するThunderboltケーブルの帯域幅に限界があるためです。
デスクトップPCでは、グラフィックボードはマザーボードのPCI Expressスロットに直接接続されます。最新の規格であるPCIe 4.0 x16の場合、理論上の最大データ転送速度は約32GB/sに達します。一方、外付けGPUで主流のThunderbolt 3やThunderbolt 4の帯域幅は最大40Gbps(約5GB/s)です。
性能低下の目安は約10%~20%
このデータ転送速度の差がボトルネックとなり、グラフィックボード本来の性能が発揮できなくなります。多くの検証結果によれば、同じグラフィックボードをデスクトップPCに内蔵した場合と比較して、外付けGPUではおおよそ10%から20%程度の性能低下が見られます。
例えば、デスクトップなら平均120fpsで動作するゲームが、外付けGPU環境では100fps前後になる、といったイメージです。もちろん、ノートPCの内蔵GPUと比較すれば性能は劇的に向上しますが、「デスクトップと全く同じ性能」にはならないという事実は、購入前に必ず理解しておく必要があります。
特に、RTX 4080や4090といったハイエンドなグラフィックボードほど、帯域幅の制限による性能低下の影響を大きく受けやすくなります。外付けGPUで最もコストパフォーマンスを発揮しやすいのは、RTX 4060 Tiや4070といったミドルレンジのモデルと言えるかもしれません。
サンダーボルトなしPCでは使えない
外付けGPUを利用するための絶対条件、それはPC側にThunderbolt(サンダーボルト)3またはThunderbolt 4ポートが搭載されていることです。
ここで非常に重要な注意点があります。Thunderboltポートは、一般的なUSB Type-Cポートとコネクタの形状が全く同じです。しかし、形状が同じだからといって、すべてのUSB-Cポートが外付けGPUに対応しているわけではありません。
Thunderboltポートの見分け方
お使いのノートPCが対応しているか確認する最も確実な方法は、ポートの近くに雷のような稲妻マークがあるかを探すことです。このマークがThunderbolt規格に対応している証となります。
もしマークが見当たらない場合は、PCの取扱説明書やメーカーの公式サイトで仕様を確認する必要があります。「USB 3.2 Type-C」や「DisplayPort Alternate Mode対応」といった記載だけでは、外付けGPUは利用できません。
「サンダーボルトなし」のPCでは接続不可
ThunderboltポートがないPCに外付けGPUを接続することは不可能です。変換アダプタなども存在しないため、購入前にお使いのPCの仕様を必ず確認してください。これを怠ると、高価なeGPUボックスとグラフィックボードがただの置物になってしまいます。
最近ではOculinkという別の高速接続規格に対応した製品も登場していますが、まだ一般的ではなく、対応するPCもごく一部に限られています。現状では、外付けGPUの接続はThunderboltが必須と考えておきましょう。
GPUの寿命とトータルコストの問題

外付けGPUの導入は、一時的な出費だけでなく長期的な視点でのコストも考慮する必要があります。その中心となるのが、GPU本体の寿命です。
一般的に、グラフィックボードの物理的な寿命は使用頻度や環境にもよりますが、およそ3年から5年と言われています。これは冷却ファンの軸受の劣化や、コンデンサなどの電子部品の寿命によるものです。もちろん、5年以上問題なく動作するケースも多々ありますが、一つの目安として考える必要があります。
トータルコストで考えると割高になる可能性
外付けGPUの導入にかかる費用を考えてみましょう。
- eGPUボックス:約4万円~6万円
- グラフィックボード(ミドルレンジ):約6万円~8万円
これを合計すると、初期投資だけで10万円から14万円ほどかかります。これは、同じ性能のグラフィックボードを搭載したBTO(受注生産)のゲーミングデスクトップPCが購入できてしまう価格帯です。
デスクトップPCであれば、数年後にグラフィックボードだけを交換して性能をアップグレードすることも容易です。外付けGPUも同様に中身の交換は可能ですが、eGPUボックスという「箱」の分のコストが余分にかかっていると考えることもできます。
「ノートPC1台で全てを済ませたい」という明確な目的がなければ、コストパフォーマンスの面ではデスクトップPCに軍配が上がることが多い、という点は冷静に判断する必要があるでしょう。
デスクトップPCを購入した方が良い場合
前述の通り、外付けGPUには様々なデメリットや注意点が存在します。これらを踏まえると、特定の条件下では、素直にデスクトップPCを選択した方が賢明と言えるでしょう。
具体的には、以下のようなケースが挙げられます。
デスクトップPCがおすすめな人の特徴
- PCを外に持ち出して使うことがほとんどない
- 最高のパフォーマンスと安定性を最優先したい
- コストパフォーマンスを重視している
- PCトラブルの解決に時間をかけたくない
- 設置スペースに余裕がある
特に、自宅でのゲームプレイが主目的で、ノートPCの携帯性を必要としないのであれば、デスクトップPCの方が圧倒的に満足度は高くなります。同じ予算であればより高性能なパーツ構成が可能ですし、拡張性や冷却性能、安定性においても外付けGPU環境より優れています。
「ノートPCは大学や仕事で必須だけど、家ではゲームもしたい。でも2台もPCを管理するのは面倒…」といった、特定の悩みを抱えている人向けの、少しトリッキーな解決策が外付けGPUなんです。万人におすすめできるものではない、というのが正直なところですね。
あなたのPC利用スタイルを一度見直し、「本当に外付けGPUでなければならないのか?」と自問自答してみることが、後悔しないための第一歩です。
「外付けGPUはやめとけ」は本当?賢い選び方

- 知っておきたいメリットと利点
- ノートパソコンの性能を拡張できる
- thunderbolt4対応モデルを選ぶべきか
- 用途別のおすすめモデルを紹介
知っておきたいメリットと利点
ここまで外付けGPUのデメリットを中心に解説してきましたが、もちろんそれを上回る独自のメリットと利点も存在します。これらを理解することで、「やめとけ」という意見が自分に当てはまるのかを正しく判断できます。
最大のメリットは、「1台のPCで携帯性と高性能を両立できる」点に尽きます。
外付けGPUの主なメリット
- 利用シーンに応じてPCの性格を変えられる
外出先では軽量なノートPCとして、自宅ではケーブル1本でパワフルなゲーミング・クリエイティブPCとして活用できます。2台のPCを使い分ける必要がありません。 - データ管理がシンプル
PCが1台なので、「あのデータはデスクトップの方だった…」といったデータの同期や移行の手間が一切発生しません。常に同じ環境で作業できるのは大きな利点です。 - 将来的なアップグレードが可能
数年後にグラフィックボードの性能に不満が出てきた場合、eGPUボックスの中身だけを最新のものに交換することで、再び性能を向上させることができます。 - ノートPC本体の熱対策になる
高負荷時に最も発熱するパーツであるGPUを筐体の外に出すことで、ノートPC本体の冷却に余裕が生まれます。これにより、CPU性能の安定化にも繋がる場合があります。
このように、「ノートPCの携帯性は絶対に手放せないが、自宅でのパフォーマンスも妥協したくない」という特定のニーズに対して、外付けGPUは非常に強力なソリューションとなるのです。
ノートパソコンの性能を拡張できる

外付けGPUがもたらす最も具体的で分かりやすい恩恵は、ノートパソコンのグラフィック性能を劇的に拡張できるという点です。特に、CPU内蔵GPUのみを搭載した薄型軽量ノートPCや、エントリークラスのGPUしか搭載していないビジネスノートPCでその効果は絶大です。
例えば、これまで設定を最低にしてもカクついていた3Dゲームが、高設定で滑らかに動作するようになります。また、動画編集ソフトでのプレビュー再生や、書き出し(エンコード)にかかる時間も大幅に短縮されます。
性能向上の具体例
あるユーザーの検証では、ノートPC単体(RTX3050 Laptop GPU搭載)でのファイナルファンタジー15のベンチマークスコアが「やや快適」だったのに対し、外付けGPU(RTX 3060 Ti)を接続したところ、スコアがほぼ倍増し「非常に快適」という最高評価に変わったという報告があります。
このように、今まで性能不足で諦めていた様々な作業が、外付けGPUを接続するだけで可能になります。これは、PCを買い替えることなく、既存の資産を活かして大幅なパワーアップを実現できることを意味します。
さらに、AIによるイラスト生成やLightroomでのノイズ除去といった、リアルタイム性が求められないGPU処理では、前述したThunderbolt接続による性能低下の影響がほとんどありません。これらの用途が主目的であれば、外付けGPUは非常に有効な選択肢となります。
Thunderbolt4対応モデルを選ぶべきか
外付けGPUを選ぶ際、「Thunderbolt 3とThunderbolt 4、どちらに対応したモデルを選べば良いのか?」と悩むかもしれません。結論から言うと、グラフィック性能に関しては、両者に大きな違いはありません。
どちらの規格も最大データ転送速度は40Gbpsで同じであり、外付けGPUのボトルネックとなる帯域幅は共通です。そのため、Thunderbolt 3対応のeGPUボックスでも、性能面で困ることはほとんどないでしょう。
ただし、Thunderbolt 4には、3にはないメリットも存在します。
項目 | Thunderbolt 3 | Thunderbolt 4 |
---|---|---|
最大転送速度 | 40Gbps | 40Gbps |
PCとの最小接続速度 | 製品による | 32Gbpsが保証されている |
安定性・互換性 | 製品によるばらつきがある | 認証が厳しく、安定性が高い |
ケーブル長 | 長いケーブル(パッシブ)だと速度が低下する場合がある | 2mのケーブルでも最大速度を保証 |
言ってしまえば、Thunderbolt 4は「Thunderbolt 3の規格をより厳格にして、最低性能を保証したもの」というイメージです。性能の上限は同じですが、安定性や安心感を重視するならThunderbolt 4対応モデルを選ぶ価値はあります。ただ、現状ではまだ製品数が少なく高価なため、コストを抑えたいのであれば実績のあるThunderbolt 3対応モデルで十分と言えます。
用途別のおすすめモデルを紹介
外付けGPUボックスはいくつかのメーカーから発売されていますが、選択肢はそれほど多くありません。ここでは、実績と信頼性のある定番モデルを用途別にご紹介します。
定番で安心感のあるモデル:Razer Core X シリーズ
外付けGPUボックスと言えば、まず名前が挙がるのがRazer社の「Core X」シリーズです。多くのグラフィックボードに対応する広い内部スペースと、十分な電源容量(650W〜700W)を備えており、初心者から上級者まで幅広くおすすめできる定番製品です。
WindowsとMacの両方に対応している点も魅力。情報も比較的多いため、トラブルシューティングがしやすいという利点もあります。
省スペース性を重視するなら:SPARKLE TBX-240FU
よりコンパクトなモデルを求めるなら、SPARKLEの製品が選択肢に入ります。比較的小型のグラフィックボード向けですが、デスク上のスペースを圧迫しません。USBハブ機能や有線LANポートを備えているモデルもあり、ドッキングステーションとしての役割も兼ねることができます。
将来性と携帯性を求めるなら:GPD G1
最新のUSB4およびThunderbolt 4接続に対応し、将来性と携帯性の両方を重視したい方には「GPD G1」が最適です。このモデルは空のボックスではなく、高性能な「Radeon RX 7600M XT」を内蔵した世界最軽量級のポータブルeGPUです。約920gという軽さで持ち運びも容易なため、ノートPCの機動力を損ないません。
GPUがセットになったモデルに注意
一部の製品には、あらかじめグラフィックボードが内蔵された状態で販売されているものもあります。手軽に導入できるメリットはありますが、将来的にGPUの交換ができない、あるいは非常に困難な場合があるため注意が必要です。長期的な利用を考えるなら、中身を自由に入れ替えられるボックス単体のモデルをおすすめします。
これらのボックスに、自分の予算や目的に合ったグラフィックボード(例えば、コストパフォーマンスに優れたNVIDIA GeForce RTX 4060 Tiなど)を組み合わせるのが、最も一般的なスタイルとなります。
結論:外付けGPUはやめとけは本当か
今回の記事の内容をまとめます。
- 「外付けGPUはやめとけ」はトラブルを自己解決できない人にとっては本当
- ノートPC1台で携帯性と高性能を両立したい人には最適な選択肢
- 導入にはThunderbolt 3または4ポートが搭載されたPCが必須
- USB-Cポートとの形状の違いに要注意
- デスクトップPCと比べ10~20%の性能低下は避けられない
- ハイエンドGPUほど性能低下の影響が大きくなる傾向がある
- eGPUボックスとGPU本体で初期コストは10万円を超える場合が多い
- セットアップ時にドライバ競合などのトラブルが発生する可能性がある
- PCの知識がある程度ないと安定した運用は難しい
- 最大のメリットはデータ管理がシンプルになること
- ノートPC本体の冷却性能向上にも貢献する
- Thunderbolt 3と4で実用上の性能差はほとんどない
- 安定性を求めるならThunderbolt 4対応製品が望ましい
- 定番モデルはRazer Core Xシリーズ
- 万人向けではなく特定のニーズに応えるための製品と理解することが重要