CPUクーラーは水洗いしてもいい？掃除方法を解説

「CPUクーラー水洗い」というキーワードで検索されているあなたは、パソコンの冷却性能について気にされているかもしれません。CPUクーラーの清掃方法について、水洗いが本当に可能なのか、あるいは他の清掃方法はないのか疑問に思っている方もいらっしゃるでしょう。

また、CPUの熱伝導を助けるグリス拭き取りの重要性や、簡易水冷ラジエーター水洗いに関する注意点、そしてCPUクーラーは何年くらい使えるのかといった疑問をお持ちかもしれません。この記事では、これらの疑問に寄り添いながら、パソコンを最適な状態に保つための情報を提供いたします。

記事のポイント

CPUクーラーの水洗いが推奨されない理由とリスク
安全かつ効果的なCPUクーラーの清掃方法
CPUグリスの適切な拭き取り方と塗り直しについて
CPUクーラーの寿命と交換の目安

CPUクーラーは水洗いOK？
CPUクーラーの水洗い以外の選択肢

CPUクーラーは水洗いOK？

CPUクーラーは水洗いしてもよい？
CPUクーラーの適切な清掃方法
古いCPUグリスの拭き取り方法
簡易水冷ラジエーター水洗いには注意

CPUクーラーは水洗いしてもよい？

CPUクーラーの水洗いは、原則としておすすめできません。水洗い自体は可能とされていますが、その後のパソコン稼働に問題が生じないことを保証するものではないからです。CPUクーラーの金属部分、特にヒートシンクはアルミ製であることが多く、水に触れるとすぐに金属腐食が始まります。これが白錆と呼ばれるもので、見た目の変化は少ないものの、経年劣化を早める原因になりかねません。

もちろん、多少の白錆は通常の経年劣化でも発生します。しかし、発生したからといってすぐに機能が著しく低下し、使用できなくなるわけではありません。ただし、長期的な視点で見ると、水洗いはCPUクーラーの寿命を縮める可能性を否定できません。

したがって、定期的に清掃しているにもかかわらず冷却効果が低いと感じる場合は、水洗いではなく新しいCPUクーラーへの交換を検討することをおすすめします。水に触れることで、内部のモーター部分などに水分が残ってしまうと、通電時にショートを起こし、パソコンが故障するリスクもあります。

CPUクーラーの適切な清掃方法

CPUクーラーの掃除には、水洗い以外の方法がいくつかあります。最も安全で推奨されるのは、エアダスターやエアブロワーを使用する方法です。これらの道具を使えば、パソコンの電源を切り、静電気を除去した状態で、ヒートシンクの隙間やファンの奥に溜まったホコリを効果的に除去できます。特に、タバコを吸われる方のパソコンでは、ヤニが付着してホコリが固着している場合がありますが、そのような場合でもエアダスターは有効です。

また、ホコリが固着してエアダスターだけでは取り除けない場合は、毛先の柔らかいブラシやマイクロファイバー製の布を使用すると良いでしょう。ファンブレードの汚れは、布で優しく拭き取ることができます。この際、力を入れすぎるとブレードが破損する可能性があるので注意が必要です。

なお、掃除機を使用する際は、マザーボードやグラフィックボードなどの基板部分に直接触れないように十分気を付けてください。細かい部品が吸い込まれたり、静電気が発生したりする可能性があります。

古いCPUグリスの拭き取り方法

CPUクーラーを取り外して掃除を行う際には、CPUとCPUクーラーに付着している古いCPUグリスの拭き取りが不可欠です。CPUグリスは、CPUとCPUクーラーの間に生じる微細な隙間を埋め、熱伝導効率を高める役割を担っています。しかし、長期間使用すると乾燥したり硬化したりして、その性能が低下してしまいます。

古いグリスを拭き取る際には、ウェットクリーニングティッシュ、特にエタノールが含まれているものがおすすめです。これにより、グリスをきれいに除去することができます。拭き取りの際は、CPUのヒートスプレッダが非常に柔らかいため、力を入れずに優しく拭き取ることを心がけてください。ゴシゴシと強くこすると、傷が付いてしまう可能性があります。

グリスを完全に除去したら、新しいグリスを適量塗布します。ヘラを使って均一に薄く伸ばすことで、最大限の熱伝導効果が期待できます。グリスは多すぎても少なすぎても効果が薄れてしまうため、適量を守ることが大切です。

簡易水冷ラジエーターの水洗いには注意

簡易水冷CPUクーラーのラジエーターフィンについても、水洗いには注意が必要です。空冷式のヒートシンクと同様に、水滴が内部に残ると故障の原因となる可能性があります。多くの簡易水冷ラジエーターは水が付着しても問題ないとされていますが、これはあくまで設計上の話であり、完全に乾燥させなければショートのリスクが残ります。

ラジエーターフィンの掃除方法としては、まずエアブロワーやエアダスターで表面のホコリを吹き飛ばすのが一般的です。これだけでは落ちない頑固な汚れや油汚れには、柔らかいペーパータオルやブラシが有効です。ただし、ティッシュや通常のペーパータオルだと繊維が残ってしまうことがあるため、ショップタオル系のペーパータオルなど、繊維が付着しにくいものを使用することをおすすめします。

また、水を使用する場合は、霧吹きに精製水や中性洗剤を数滴混ぜた精製水を入れて全体に吹き付け、その後すぐに乾かす方法が考えられます。しかし、これはあくまで自己責任での判断となります。もっと言えば、車用のパーツクリーナーも油汚れを落とすのに効果的で、揮発性が高いため水分が内部に浸透しにくいという利点があります。

ただし、パーツクリーナーも強力な溶剤のため、フィンの材質によっては悪影響が出る可能性も否定できません。高圧洗浄機などは、フィンの歪みを引き起こす可能性があるため、絶対に使用しないでください。

CPUクーラーの水洗い以外の選択肢

掃除が必要な理由と起こりうる症状
掃除に必要なものとかかる時間
CPUクーラーは何年くらい使える？
CPUクーラーの水洗いを避けて長持ちさせる

掃除が必要な理由と起こりうる症状

CPUクーラーの掃除は、パソコンを長く快適に使う上で非常に重要です。CPUクーラーはCPUの熱を外部に放熱する役割を担っており、パソコンの稼働中は常にファンが回転し、空気を吸い込んでいます。このため、時間とともにホコリが溜まってしまうことは避けられません。

ホコリが溜まると、ファンの回転が阻害されたり、ヒートシンクの冷却効率が低下したりします。これにより、CPUが正常に冷却されなくなり、以下のような様々な問題が発生する可能性があります。

冷却性能の低下：ホコリが空気の流れを妨げ、CPUの温度が上昇します。
熱暴走：CPUが高温になりすぎると、パソコンが強制的にシャットダウンしたり、動作が不安定になったりします。これは大切なデータの消失にも繋がる可能性があります。
ショートや出火：稀なケースですが、溜まったホコリが湿気を帯びることでショートを引き起こしたり、最悪の場合、出火の原因となることも考えられます。
CPUファンの異音：ホコリがファンに絡まり、異常な騒音を発生させることがあります。

これらのトラブルを未然に防ぎ、パソコン本来の性能を維持するためにも、定期的なCPUクーラーの清掃は不可欠です。

掃除に必要なものとかかる時間

CPUクーラーを安全かつ効果的に掃除するためには、いくつかの道具を事前に準備しておくことが大切です。一般的に必要な道具は以下の通りです。

マイナスドライバー: CPUクーラーの取り外しに使用します。精密なものではなく、100円ショップなどで手に入るものでも十分です。
エアダスターまたはエアブロワー: ホコリを吹き飛ばすために使用します。不燃性のものがおすすめです。
歯ブラシ: ファンの細かな部分やヒートシンクの隙間のホコリをかき出すのに便利です。使い古したもので構いません。
中性洗剤: 水洗いを行う場合に使用しますが、前述の通り推奨されません。
タオル（雑巾）: 拭き取り作業に使用します。
グリス: CPUクーラーを取り付け直す際に、新しいものが必要です。熱伝導率によって価格が異なりますので、用途に合ったものを選びましょう。
ウェットクリーニングティッシュ: 古いグリスを拭き取る際に、エタノールが含まれているものが特に有効です。
ヘラ: 新しいグリスを均一に塗る際に便利です。

これらの道具にかかる費用は、ほとんどが家庭にあるものでまかなえますが、すべてを新規で購入すると合計で1,000円から2,000円程度になることもあります。

掃除にかかる時間は、個人の慣れによって異なりますが、目安として取り外しに約10分、掃除に約20分、取り付けに約15分で、合計45分から60分程度です。しかし、水洗いをしてしまうと、完全に乾燥させるために丸一日かかる場合もあります。そのため、パソコンを使用しない日を選んで作業を行うか、簡易清掃に留めることをおすすめします。

CPUクーラーは何年くらい使える？

CPUクーラーの寿命は、使用環境や製品の品質によって大きく異なりますが、一般的には数年から10年程度使用できると言われています。CPUクーラーの寿命を左右する主な要因は、内蔵されているファンの軸受（ベアリング）の劣化です。ファンは常に高速で回転しているため、時間の経過とともに摩耗し、異音が発生したり、回転数が低下したりすることがあります。

また、前述の通り、ホコリの蓄積も寿命を縮める要因の一つです。ホコリがファンに絡まると、ファンに余計な負荷がかかり、モーターの寿命を早めてしまいます。グリスの乾燥も熱伝導効率を低下させ、CPUクーラーの負担を増やすことにつながります。

これらの理由から、定期的な清掃とグリスの塗り直しを行うことで、CPUクーラーの寿命を延ばすことが可能です。異音がする、冷却性能が著しく低下した、などの症状が見られる場合は、新しいCPUクーラーへの交換を検討する時期かもしれません。