こんにちは。PCギアナビ、管理人の「ギアナビ」です。
ゲーム配信や録画のためにキャプチャーボードを導入した際、「ゲームの音量が大きすぎる」と感じたことはありませんか。
「キャプチャーボードの音量が大きい」という問題は、多くの場合、単に音が大きいだけでなく、配信ソフトのOBSなどでメーターが振り切れて「音割れ」が発生している状態を指します。また、ご自身のマイクとの音量バランスが悪く、ゲーム音ばかりが目立ってしまうケースも含まれます。
特にPS5やNintendo Switchなど特定のゲーム機との接続時や、Windowsのサウンド設定が原因で意図しないノイズが発生することも少なくありません。OBSのリミッターやコンプレッサーといったフィルタ機能の使い方がわからず、調整に困っている方もいらっしゃるかと思います。
この記事では、キャプチャーボードの音量が大きくなる主な原因を切り分け、WindowsやOBSで実行できる具体的な対処法を、順を追って誠実に解説いたします。
- ゲーム音が音割れする根本的な原因の特定方法
- Windows OSとゲーム機(PS5/Switch)側で行うべき音声設定
- OBSの音声ミキサーと「リミッター」などフィルタの具体的な設定
- ゲーム音とマイク音声の最適なバランス調整の考え方
キャプチャーボードの音量が大きい原因
ゲーム音が大きすぎると感じる場合、その背景にはいくつかの技術的な原因が隠れています。単に音量を下げるだけでは解決しないことも多いため、まずは問題の根本を特定することが重要です。
それ音割れかも?OBSで確認

最初に確認すべき最も重要な場所が、OBS Studioなどの配信ソフトウェアに搭載されている「音声ミキサー」です。
ゲームを起動した状態で、キャプチャーボードに対応するメーター(通常は「映像キャプチャデバイス」ソースと同じ名前です)に注目してください。
このメーターが黄色いゾーンを頻繁に超え、赤いゾーン(0dB)に達している場合、それは「音割れ(クリッピング)」が発生している明確な証拠です。
音割れとは、入力された音声信号がデジタル処理の限界(0dBFS)を超えてしまい、音の波形の上部が平らに潰れてしまう現象です。結果として、「バリバリ」「ザラザラ」といった非常に不快な歪み(ディストーション)が生じ、これは視聴者にとって大きなストレスとなります。
「音量が大きい」と感じる問題の多くは、この音割れ、または後述するマイク音声とのバランスの不均衡に起因しています。
OBSレベルメーターの目安
- グリーンゾーン (約 -50dB ~ -20dB): 音声が入力されていますが、視聴者には小さすぎます。
- イエローゾーン (約 -20dB ~ -5dB): 理想的な音量範囲です。ゲーム音の最大ピークがこの範囲の頂点(-5dB付近)に収まるのが望ましい状態です。
- レッドゾーン (約 -5dB ~ 0dB以上): 危険信号です。音声がクリッピング(音割れ)しています。
Windowsのマイクブースト設定
OBSのメーターが赤く振り切っているのを見て、「OBSのミキサースライダーを下げれば良い」と考えるのは自然ですが、注意が必要です。
もし、OBSに音声信号が届くよりも前の段階、つまりWindowsのOSレベルで既に音割れしている場合、OBS側で音量を下げても「歪んだ音を小さくする」だけで、音割れそのものは解消されません。
この可能性を調査するため、Windowsのサウンド設定を確認します。
- Windowsのタスクバーにあるスピーカーアイコンを右クリックし、「サウンド」を選択します。
- 表示されたウィンドウで「録音」タブをクリックします。
- 一覧から、使用しているキャプチャーボードのデバイス(例: 「デジタル オーディオ インターフェイス」や製品名)を見つけ、ダブルクリックします。
- プロパティウィンドウが開いたら、「レベル」タブを選択します。
ここで、以下の2点を確認してください。
1. レベル(音量):
このスライダーが100(最大)になっていると、入力信号が強すぎる可能性があります。もし音割れしている場合は、まずこのスライダーを80~90程度に下げ、OBS側のメーターに変化があるか確認します。
2. マイクブースト (Mic Boost):
デバイスによってはこの項目が存在します。これは本来、マイクからの微弱な信号を電気的に増幅(例: +10dB, +20dB)するための機能です。キャプチャーボードからの信号(ラインレベル信号)は元々十分な音量があるため、このブーストは原則として不要です。もしここが0.0dB以外に設定されている場合、それが音割れの直接的な原因である可能性が極めて高いです。必ず「0.0dB」に設定してください。
PS5はリニアPCM設定か確認

PlayStation 5 (PS5) を使用している場合、本体の音声出力設定がトラブルの原因となることがあります。
PS5の音声設定には「リニアPCM」と「ビットストリーム(DolbyまたはDTS)」の選択肢がありますが、キャプチャーボードを介した録画・配信用途においては、「リニアPCM」を選択することを強く推奨します。
▼設定箇所
PS5ホーム画面 → 「設定」 → 「サウンド」 → 「音声出力」 → 「音声フォーマット(優先)」
ビットストリームは圧縮されたサラウンド音声データであり、キャプチャーボードやPC側でそれを正しくデコード(復号)する必要があります。この処理がうまくいかないと、音声が再生できないか、「サー」という大音量のホワイトノイズが発生する原因となります。
対して「リニアPCM」は、非圧縮の標準的なステレオ音声信号であり、ほぼ全てのキャプチャーボードやPCと互換性があります。最も安定的でトラブルの少ないフォーマットと言えます。
Switchで音が出ない時の罠
Nintendo Switchの場合、音声フォーマットに関する複雑な設定はありませんが、非常に単純な見落としが音声トラブルの原因となることがあります。
それは、Switch本体またはコントローラーのイヤホンジャックに、ヘッドホンやイヤホンが接続されているケースです。

Switchは、イヤホンジャックにプラグが挿入されると、音声をそちらに優先的に出力しようとし、HDMI経由での音声出力を自動的に停止する仕様になっています。
その結果、キャプチャーボードには一切音声信号が送られず、OBS上では無音となります。
注意点
これは「音量が大きい」とは逆の症状ですが、「音が出ない」ことに慌ててWindowsやOBSの各種設定を不適切に変更した結果、ノイズフロアだけが持ち上がり、結果的にノイズが大きく聞こえるといった二次的な問題につながる可能性があります。
録画・配信の際は、ゲーム音声はHDMI経由でキャプチャーボードに送り、ヘッドホンはPC側に接続してPCの音(ゲーム音やマイクのモニタリング音)を聞くのが基本的な接続です。
PCスペック不足によるノイズ
ユーザーが「音割れ」と表現する現象が、レベル超過による「バリバリ」音ではなく、「ブツブツ」「プツプツ」といった途切れ(オーディオクラックリング)や歪みである場合、原因は音量レベルとは別にあるかもしれません。
もし、OBSの上部メニュー「表示」→「ドック」→「統計」を開き、「レンダリングラグによりドロップしたフレーム」や「エンコードラグによりドロップしたフレーム」が多数発生している場合、それはPCの処理負荷(CPU/GPU負荷)が高すぎることが原因である可能性が高いです。
音声処理はCPUに依存する場合が多く、CPU使用率が限界に達すると音声バッファの処理が間に合わず、音が途切れたりノイズが発生したりします。
この場合の対処法は、音量調整ではなくPCの負荷軽減です。OBSの「設定」→「映像」で「出力(スケーリング)解像度」を「1920×1080」から「1280×720」に下げる、またはゲームやOBS以外の不要なソフトウェアを終了させるといった対策が必要になります。
キャプチャーボードの音量が大きい時の対処法
OSやゲーム機側の設定がクリーンな状態になったら、いよいよOBS内部での音量制御を行います。ここで適切に設定することで、音割れを防ぎつつ、マイク音声とのバランスが取れた聞きやすい音声を目指します。
OBS「音声のみをキャプチャ」設定
まず、OBSの「ソース」ドックで、キャプチャーボードを追加した「映像キャプチャデバイス」ソースをダブルクリックし、プロパティを開きます。
この中にある「音声出力モード」という項目を、「音声のみをキャプチャ」に設定してください。
もしこれを「デスクトップ音声に出力 (WaveOut)」などに設定すると、ゲーム音は「映像キャプチャデバイス」のメーターではなく、OBSのグローバル音声設定である「デスクトップ音声」のメーターから出力されます。
この状態では、PCで再生されるBGMやブラウザの音、通知音など、PC上の全ての音声とゲーム音が混ざってしまい、ゲーム音だけを個別に調整したり、後述するフィルタを適用したりすることが不可能になります。
ゲーム音を独立したチャンネルとして制御するために、この設定は非常に重要です。
OBSの音量調整スライダー
最も基本的かつ直感的な音量調整方法です。
OBSの「音声ミキサー」ドックにある、該当する「映像キャプチャデバイス」の横のスライダーを操作します。
調整のコツは、ゲームプレイ中で最も音が大きくなるシーン(戦闘中の爆発音、BGMが最高潮に達する場面など)を意図的に再生し、その最大ピーク音量を確認しながら行うことです。
その最大ピーク音が、レベルメーターのレッドゾーン(0dB)に決して達しないよう、イエローゾーンの上限(-5dB程度)に収まるようにスライダーを下げて調整します。
最重要!OBSのリミッター設定

「音量が大きい」および「音割れ」の問題に対する、最も直接的かつ効果的な解決策が「リミッター」フィルタの適用です。
リミッターは、設定した音量(しきい値)を超えるオーディオ信号を、強制的に圧縮またはカットする機能です。これは、音声信号に対して物理的な「天井」を設けるようなものだとご理解ください。
▼設定方法
キャプチャーボードの音声ミキサー(歯車アイコン) → 「フィルタ」 → 左下の「+」ボタンから「リミッター」を追加します。
推奨設定(ゲーム音源向け)
- しきいG値 (Threshold):
-6dB~-3dB - リリース (Release):
60ms(デフォルト値で問題ありません)
例えば「しきい値」を -6dB に設定すると、キャプチャーボードからどれほど大きな信号が入力されても、OBSのレベルメーターは絶対に-6dBを超えなくなります。
これにより、$0\text{dB}$で発生するクリッピング(音割れ)を100%物理的に防止することが可能です。これは配信や録画の品質を守る上で、非常に重要な設定です。
OBSコンプレッサーで音を均一化
リミッターが「音割れ防止」のための防御的なフィルタであるのに対し、「コンプレッサー」はより積極的な音質改善のためのフィルタです。
ゲームの音声は、静かな環境音や足音から、突発的な爆発音まで、音量差(ダイナミックレンジ)が非常に大きいのが特徴です。
コンプレッサーは、設定したしきい値を超える音量を、指定した比率で「圧縮(小さく)」します。これにより、大きすぎる音と小さすぎる音の音量差を縮め、全体の音圧を整え、視聴者にとって聞きやすい均一化された音声を作り出すことができます。
推奨設定(ゲーム音源向け)
以下の設定はあくまで一例です。ゲームの音響特性に合わせて調整してください。
| 項目 | 設定値(目安) | 役割と解説 |
|---|---|---|
| 比率 (Ratio) | 4:1 | しきい値を超えた音量を1/4に圧縮します。ゲーム音には3:1~6:1程度が一般的です。 |
| しきい値 (Threshold) | -18dB | この音量(平均的なゲーム音)を超えたら作動を開始します。 |
| アタックタイム (Attack) | 1ms | しきい値を超えてから圧縮が始まるまでの時間。突発音を逃さないよう短め(1ms~6ms)に設定します。 |
| リリースタイム (Release) | 60ms | 音がしきい値を下回ってから圧縮解除までの時間。デフォルト(60ms~100ms)で自然な結果が得られます。 |
| 出力ゲイン (Output Gain) | 0dB | 圧縮で下がった音量を持ち上げる機能ですが、今回は「音量が大きい」問題の解決が目的なので、ここは0dBのままにします。 |
マイクとの音量バランス調整
キャプチャーボード(ゲーム音)の音割れを防ぎ、音量を均一化できたら、最後にご自身のマイク音声とのバランスを調整します。
「ゲーム音が大きい」と感じる根本的な動機は、多くの場合「ゲーム音に比べてマイクの音(自分の声)が小さい」というアンバランスにあります。
最終的な目標は、ゲーム音のピークと、マイク音声(ご自身の声)のピークが、どちらもOBSレベルメーターのイエローゾーン(例: ともに-10dBから-5dBの間)に収まるようバランスを取ることです。

もしマイクの音が小さい場合は、マイクのソースにもフィルタを追加して調整します。
マイク音声を調整する方法
- ゲインフィルタ: マイクソースに「ゲイン」フィルタを追加し、音量を電子的に増幅します。ただし、「サー」というホワイトノイズも一緒に増幅されやすいため注意が必要です。
- コンプレッサーフィルタ: マイクにもコンプレッサーを適用します。小声と大声の差を圧縮し、全体の音圧を上げることで、ゲインフィルタよりも高品質に音量を持ち上げることが期待できます。
(設定値はゲーム音源とは異なります。別途マイク用の設定を詰める必要があります)
フィルタの正しい適用順序
最後に、非常に重要な注意事項です。OBSのフィルタは、フィルタリストの上から下へ順番に適用(処理)されます。この適用順序を間違えると、意図した効果が得られません。
例えば、「リミッター」の後に「ゲイン(音量を上げるフィルタ)」を配置すると、リミッターで音を抑えつけた後に再び音量を持ち上げることになり、音割れが再発します。
ゲーム音源 推奨フィルタ順序(上から下に処理)
- (ノイズ抑制など) ※もし常時ノイズが乗っている場合、最初に追加
- コンプレッサー (まず音量のダイナミックレンジを整え、均一化する)
- リミッター (コンプレッサーで整えられた音が、万が一クリッピングしないよう、最後に配置して「天井」として機能させる)
この「リミッターを最後に置く」という原則を守ることが、音割れを防ぐ上で不可欠です。
キャプチャーボードの音量が大きい問題解決
「キャプチャーボードの音量が大きい」という問題は、多くの場合「レベル超過による音割れ」と「マイク音声とのアンバランス」が原因です。
解決への道筋は、まずOBSのメーターで現状を正確に診断することから始まります。
次に、Windowsの「マイクブースト」やPS5の「リニアPCM」設定など、OBSに信号が入る前の段階をクリーンにします。その上で、OBSの「コンプレッサー」で音量を均一化し、最終防衛ラインとして「リミッター」を配置して物理的な音割れを100%防止します。
最後に、調整したゲーム音に合わせてマイクの音量を調整し、両者のバランスを取ることで、視聴者にとって聞きやすい配信音声が完成します。
設定項目は多岐にわたりますが、一つずつ順番に確認・設定していただければと思います。
この記事で紹介した設定値(dB値など)は、あくまで一般的な目安です。使用するキャプチャーボード、マイク、ゲームタイトルによって最適な値は異なります。ご自身の環境でレベルメーターを注視しながら、最適なバランスを見つけてください。
また、オーディオ設定は非常に奥が深い分野であり、本記事の内容はトラブルシューティングの一例です。より高度な設定や機材固有の問題については、各メーカーの公式サイトを確認するか、オーディオの専門家にご相談ください。

