CPUクーラー プッシュピンの外し方|折れた・固い時の対処法

CPUクーラー プッシュピンの外し方|折れた・固い時の対処法 CPUクーラー

CPUのメンテナンスや交換の際、「CPUクーラーのプッシュピンの外し方が分からない」とお困りではありませんか。ピンが固くて外れない、あるいは無理に力を入れて爪が折れたといったトラブルは、自作PC初心者だけでなく経験者にも起こり得ます。正しく作業しないと、マザーボードを傷つけてしまう可能性もあり、慎重な対応が求められます。

この記事では、Intel純正クーラーなどに採用されているプッシュピンの基本的な外し方から、万が一のトラブル対処法まで、手順を追って丁寧に解説します。さらに、取り外した後の正しいプッシュピンの付け方、もしもの時のプッシュピンの代用方法、そしてこれから交換を検討している方向けにおすすめのプッシュピン式CPUクーラーも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事でわかること
  • プッシュピンの正しい着脱手順が分かる
  • 「外れない」「折れた」などトラブルの解決策を学べる
  • プッシュピンの代用や交換部品の知識が身につく
  • おすすめのプッシュピン式クーラーが分かる

基本的なCPUクーラー プッシュピンの外し方

基本的なCPUクーラー プッシュピンの外し方
  • プッシュピンの基本的な外し方の手順
  • プッシュピンが固くて外れない時の対処法
  • プッシュピンの爪が折れた時の修復方法

プッシュピンの基本的な外し方の手順

CPUクーラーのプッシュピンを取り外す作業は、構造を理解すれば決して難しくありません。基本は「ピン上部を90度回してロックを解除し、垂直に引き抜く」という2ステップです。焦らず一つずつ確実に行いましょう。

まず、CPUクーラーの四隅にあるプッシュピンを確認します。ピンの上部には矢印マークとマイナスドライバー用の溝があるはずです。この矢印がロック解除の方向を示しています。

外し方の具体的な手順は以下の通りです。

プッシュピン取り外しの4ステップ

  1. CPUファンの電源ケーブルを抜く: 作業前に必ずマザーボード上の「CPU_FAN」などと書かれたコネクタから電源ケーブルを抜いておきます。
  2. プッシュピンのロックを解除する: ピンの上部にある溝にマイナスドライバーを差し込み、矢印の方向に90度回します。通常、CPUクーラーの中心方向を向く形になります。この作業を4ヶ所のピンすべてで行ってください。
  3. プッシュピンを引き上げる: ロックを解除したら、ピンの頭を指でつまみ、マザーボードから垂直に引き上げます。少し固い場合がありますが、「カチッ」または「パチン」という手応えと共にピンが5mmほど上に上がります。これも4ヶ所すべてで行います。
  4. CPUクーラー本体を取り外す: 4ヶ所すべてのピンが抜けていることを確認したら、CPUクーラー本体を真上に持ち上げて取り外します。

CPUグリスの固着に注意

長期間使用したPCでは、CPUとクーラーの間に塗られたCPUグリスが熱で固着し、クーラーが外しにくくなっている場合があります。無理に真上に引き抜こうとすると、CPUごとソケットから抜けてしまう「スッポン」という現象が起き、CPUピンを破損する危険があります。外しにくいと感じたら、クーラー本体を左右に優しくひねるように動かして、固着をゆっくり剥がしてから持ち上げてください。


プッシュピンが固くて外れない時の対処法

手順通りに進めても、プッシュピンが固くて回らなかったり、引き抜けなかったりすることがあります。このような状況で無理やり力を加えるのは、パーツ破損のリスクを高めるため絶対に避けるべきです。落ち着いて原因を探り、適切に対処することが重要です。

原因1:ロックが完全に解除されていない

最もよくある原因は、ピンの回転が不十分でロックが完全に外れていないケースです。ピンの上部をもう一度よく見て、きっちり90度回転しているか確認しましょう。中途半端な角度だと、内部の爪がマザーボードの穴に引っかかったままになり、引き抜けません。

原因2:経年劣化による固着

PCケース内部の熱やホコリにより、プラスチック製のピンが固着してしまうこともあります。この場合は、マイナスドライバーで少し力を加えて回す必要がありますが、ドライバーが滑ってマザーボード上の電子部品を傷つけないよう、細心の注意を払ってください。

原因3:CPUグリスの強力な固着

前述の通り、グリスの固着もクーラーが外れない大きな原因です。クーラーをひねっても外れないほど強力に固着している場合は、一度PCを起動してCPUに少し負荷をかけ、CPUの熱でグリスを温めて柔らかくするという方法も有効です。数分間負荷をかけた後、電源を切り、再度作業を試みてください。

私も経験がありますが、外れないと本当に焦りますよね。でも、大抵はロック解除が不十分かグリスの固着が原因です。深呼吸して、もう一度手順を確認しながらゆっくり作業するのが成功の秘訣ですよ。


プッシュピンの爪が折れた時の修復方法

慎重に作業していても、経年劣化したプッシュピンの爪が「パキッ」と折れてしまうことがあります。爪が折れたピンではCPUクーラーを正常に固定できず、CPUの冷却不足を引き起こし、最悪の場合は熱暴走によるPCのシャットダウンやCPUの故障に繋がります。

しかし、ピンが1本折れただけでクーラーごと買い替える必要はありません。交換用のプッシュピンは単体で安価に販売されており、自分で修復することが可能です。

交換用プッシュピンの入手

交換用のプッシュピンは、「Intel CPUクーラー用 プッシュピン」などの名称で、AmazonやPCパーツショップなどで購入できます。4個セットで数百円程度と非常に安価なので、予備として持っておくのも良いでしょう。

折れたピンの交換手順

  1. 古いピンの取り外し: クーラーの固定部分をよく見ると、黒いプラスチックのステーで白いピンが固定されている構造が分かります。この黒いステーの隙間に精密ドライバーなどを差し込んで少し広げると、白いピン部分を抜き取ることができます。
  2. 新しいピンの取り付け: 新しいピンを、外した時と逆の手順で取り付けます。ピンとステーには位置を合わせるための溝や突起があるので、それに合わせてはめ込みます。
  3. 動作確認: 取り付け後、ピンを押し込んだり回したりしてみて、正常に爪が開閉するか確認しましょう。

使っていないリテールクーラーのピンも使える?

もし、過去に使っていたCPU付属のリテールクーラーが手元にあれば、そのプッシュピンを取り外して流用できる場合があります。多くのIntelリテールクーラーは共通のプッシュピンを採用しているためです。ただし、モデルによっては微妙に形状が異なる可能性もあるため、あくまで自己責任での対応となります。


CPUクーラー プッシュピンの外し方と関連知識

CPUクーラー プッシュピンの外し方と関連知識
  • 正しいプッシュピンの付け方と固定の確認
  • プッシュピンの代用や交換部品について
  • おすすめのプッシュピン式CPUクーラー
  • CPUクーラー プッシュピンの外し方まとめ

正しいプッシュピンの付け方と固定の確認

CPUクーラーの取り外しが無事にできたら、次は取り付けです。正しい方法で取り付けないと、CPUとクーラーの間に隙間ができてしまい、冷却性能が著しく低下します。CPUの性能を最大限に引き出すためにも、取り付けは最も重要な工程の一つと言えるでしょう。

取り付け前の準備

まず、CPUの表面とCPUクーラーの接触面に残っている古いCPUグリスを、無水エタノールなどを染み込ませたキムワイプやコーヒーフィルターなどで綺麗に拭き取ります。その後、新しいCPUグリスをCPUの中央に小豆一粒程度の量を乗せます。塗り広げる必要はなく、クーラーの圧着で自然に広がります。

次に、プッシュピンの状態を確認します。取り外す際に90度回したピンを、元の位置(矢印がクーラーの外側を向く状態)に90度回して戻し、引き上げたピンの頭を押し込んでおきます。

取り付けと固定確認の手順

クーラー固定の基本は「対角線上に均等に締める」ことです。これにより、圧力が偏ることなく、CPUとクーラーが正しく密着します。

  1. マザーボードの4つの取り付け穴に、CPUクーラーのプッシュピンの位置を合わせ、そっと乗せます。
  2. 対角線上にある2つのピン(例えば右上と左下)を、同時に「カチッ」または「パチン」と音がするまで真下に押し込みます。
  3. 残りの対角線上にある2つのピンも同様に、同時に押し込みます。
  4. 最も重要な固定確認です。マザーボードを裏返し、4ヶ所すべての黒いピンの先端がマザーボードの穴から突き出て、その周りの白い爪がしっかりと開いて固定されているかを目視で確認してください。

よくある取り付けの失敗例

取り付けで最も多い失敗は、ピンがマザーボードの穴にしっかり入っていない状態で無理に押し込んでしまうことです。その結果、ピンの爪が穴の外にはみ出してしまったり、奥まで刺さらずに浮いた状態になったりします。裏から見てピンが出ていない場合は、一度そのピンのロックを解除して引き上げ、再度正しい位置に合わせて押し込み直してください。


プッシュピンの代用や交換部品について

プッシュピンが折れたり、紛失してしまった場合、最も安全で推奨されるのは専用の交換部品を使用することです。代用品では固定が不十分になる可能性があり、CPUの冷却に問題が生じるリスクを伴います。

専用交換部品がおすすめ

前述の通り、Intel純正CPUクーラー用のプッシュピンは、PCパーツとして広く流通しています。クーラー本体を買い替えるよりもはるかに経済的です。購入する際は、お使いのクーラーに対応しているか念のため確認しましょう。

部品名特徴参考価格
Intel CPUクーラー用 プッシュピン(4個セット)最も一般的で入手しやすい。多くのリテールクーラーに対応。300円~800円程度
ネジ止め式リプレースメントキットプッシュピン方式をネジとバックプレートで固定する方式に変更するキット。固定力が高まる。1,000円~2,000円程度

プッシュピン式が苦手な方向けの選択肢

「そもそもプッシュピンの取り付けが苦手」「もっと確実に固定したい」という方には、ネジ止め式への換装キットがおすすめです。これは、マザーボードの裏にバックプレートという補強板を当て、そこから生えたネジでクーラーを固定する方式です。固定力が高く、着脱もドライバー一本で確実に行えるメリットがあります。

プッシュピンは手軽さが魅力ですが、着脱を繰り返すとどうしても劣化してしまいます。PCのメンテナンスを頻繁に行う方や、より高い固定力を求める方は、この機会にネジ止め式への変更を検討してみるのも良い選択肢だと思いますよ。


おすすめのプッシュピン式CPUクーラー

プッシュピン式のCPUクーラーは、工具不要で取り付けられる手軽さから、特に自作PC初心者や、素早くパーツ交換を済ませたい方に人気があります。ここでは、純正品からコストパフォーマンスに優れたサードパーティ製品まで、おすすめのモデルを4つ厳選してご紹介します。

プッシュピン式のメリット・デメリット

メリット:なんといっても取り付けが簡単なこと。マザーボードを取り外さずに作業できる場合が多く、手軽に交換できます。

デメリット:ネジ止め式に比べて固定力がやや弱く、大型で重いクーラーには向きません。また、プラスチック製のため、着脱を繰り返すとピンが劣化・破損しやすい点には注意が必要です。

1. Intel 純正リテールクーラー (Laminar RM1 / RS1など)

CPUを購入した際に付属してくる純正クーラーです。最大のメリットは、追加費用ゼロで入手できる点と、CPUとの互換性が完全に保証されている安心感です。特に第12世代以降のCPUに付属する「Laminar(ラミナー)」シリーズは、デザイン性も向上しました。定格でPCを使用する分には十分な冷却性能を発揮するため、「コストを最優先したい」「難しい設定はせず、とにかくPCを組みたい」という方に最適な選択肢です。

  • 対応ソケット:LGA1700, 1200, 115x (CPUの世代による)
  • 特徴:無料、確実な互換性
  • 注意点:高負荷時の冷却性能や静音性はサードパーティ製に劣る

2. Cooler Master I70C FOR INTEL LGA 1700/1200/115X

PCパーツの有名メーカー、Cooler Master社が販売するエントリー向けのトップフロー型クーラーです。純正クーラーからのアップグレードに最適なモデルで、銅製のコア(芯)がCPUの熱を効率よく吸収し、純正品よりも高い冷却性能が期待できます。また、ファンが青色に光るLED機能を搭載しており、手軽にPCケース内を彩ることができるのも魅力です。「純正クーラーでは少し物足りない」「少しだけ見た目にもこだわりたい」という方におすすめします。

  • 対応ソケット:LGA1700, 1200, 1151, 1150, 1155, 1156
  • 特徴:銅コアによる冷却性能向上、ブルーLED搭載
  • 注意点:LEDの明るさ調整やOFF機能はない

3. Scythe 白虎 弐 (SCBYK-2000I)

日本のPCパーツメーカー、サイズ(Scythe)社のコンパクトなサイドフロー型クーラーです。全高を130mmに抑えた設計で、スリムなPCケースにも搭載しやすいのが特徴。プッシュピン方式で簡単に取り付けられる手軽さと、サイドフロー型ならではの高い冷却効率を両立しています。ファンの風がCPU周辺のメモリや電源回路も冷却できるトップフロー型とは異なり、PCケース内の空気の流れ(エアフロー)をまっすぐ後方へ逃がすため、ケース全体の冷却を効率化したい方にぴったりです。

  • 対応ソケット:LGA1200, 1151, 1150, 1155, 1156, 775
  • 特徴:コンパクトなサイドフロー、効率的な排熱
  • 注意点:現行モデルはネジ止め式が主流のため、入手が難しい場合がある

4. AINEX CC-01

PCパーツやケーブル類を幅広く扱うアイネックス(AINEX)社の、リプレースメント(交換用)に最適なトップフロー型クーラーです。「純正クーラーのピンが折れてしまった」「中古でCPUだけ手に入れた」といった場合に、非常に安価で純正品と同等の性能を確保できます。シンプルな構造で取り付けも迷うことがなく、緊急時のつなぎやコストを極限まで抑えたい場合に頼りになる存在です。

  • 対応ソケット:LGA1151, 1150, 1155, 1156
  • 特徴:非常に安価、純正品の代替に最適
  • 注意点:性能は純正品と同等レベルで、静音性や冷却性能の向上は期待できない
製品名タイプ特徴こんな人におすすめ
Intel 純正クーラートップフロー無料・確実な互換性コスト最優先の人・自作初心者
Cooler Master I70Cトップフロー銅コア・LED搭載純正からの手軽なアップグレードをしたい人
Scythe 白虎 弐サイドフローコンパクト・高効率な排熱スリムケースで冷却効率を上げたい人
AINEX CC-01トップフロー安価・交換用に最適純正クーラーの破損時や緊急用の人

CPUクーラー プッシュピンの外し方まとめ

この記事で解説した、CPUクーラーのプッシュピンの着脱に関する要点を以下にまとめます。作業の前に再確認し、安全で確実なメンテナンスを行いましょう。

  • CPUクーラーのプッシュピンを外す基本は「回して、引き上げる」
  • 作業前には必ずCPUファンの電源ケーブルを抜く
  • ピン上部の矢印の方向に90度回してロックを解除する
  • 4ヶ所すべてのロックを解除してからピンを引き上げる
  • ピンが固い場合は無理に力を入れず、ロックが完全か確認する
  • CPUグリスの固着が原因で外れない場合はクーラーを優しくひねる
  • ピンの爪が折れても交換部品で修復が可能
  • 交換用プッシュピンは数百円で購入できる
  • 取り付け時は古いCPUグリスを綺麗に拭き取る
  • 新しいグリスはCPU中央に小豆大ほど乗せる
  • ピンを取り付ける際は対角線上に均等に押し込む
  • 「カチッ」という音と手応えが固定の目安
  • 取り付け後は必ずマザーボード裏側からピンの状態を目視で確認する
  • プッシュピンが苦手ならネジ止め式への換装も選択肢の一つ
  • プッシュピン式クーラーは手軽さが魅力だが着脱で劣化する可能性がある
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